自分で動機付け(self-motivated)し、自分で何とかする(self-help)人である







「起業家は不況の時にこそビジネスを始めるべき」
ということが、理屈の上では分かっていたとしても、実際の環境の中ではなかなか実際には前向きな行動は起こしにくいものです。

 不況の時期には、新聞やテレビなどのマスメディアは連日「不況、不況」という景気の悪い話題しか取り上げず、自分の知り合いなどから直接話を聞いても、世間全体の景気の悪さが影響して、気分を高揚させてくれるような話は出てこない場合がほとんどになります。

 不景気の際には、顧客の購買意欲が非常に極めて低くなってしまっているため、起業家が顧客に対して様々な「価値の提案」を行っても、顧客にとって
 「お金を出して買うほどの本当に本質的な価値」
と呼べるまでに完成度が上がっていない場合には、受け入れられにくい状況になります。そのような状況では、ほとんどの人は自分の仕事に対しての動機付けが難しくなるものです。

 しかし、先に述べた「いつも前向きで、楽観的であること」とも非常に強く関連しますが、「起業をして事業を成功させたい」と考えている人のやる気や動機付けが、他人や世の中の景気の状況によって完全に左右されてしまうようでは、その事業の成功は難しいといえます。

 そのため、起業家はどのような場合においても、起業家は自分から動機付けを行う(self-motivated)な人でなければならないといえます。

 日本では、大企業の正社員として入社すれば、ほぼ全員の終身雇用が確保される雇用形態となっていたり、政府が提供する社会保障制度もアメリカや発展途上国などと比べればはるかに充実した制度となっていたりすることもあり、「何か大きいものに助けてもらう」というような考え方となっている人が多いということは言えるでしょう。

 しかし、近年の社会では、その価値観の変化は著しく、絶対につぶれないだろうと考えられていた大企業があっさりと倒産をしてしまったり、政府が運営管理している年金制度の自体の信頼が揺らいだりしているため、「何か大きいものに助けてもらう」ということが全く期待できない状態になる可能性は高くあります。

 日本では「困ったときの神頼み」というような言葉もありますが、英語では

God helps those who help themselves(天は自ら助くる者を助く)

という言葉でも知られるように、神頼みをしても「自分で何とかしなさい」と言われてしまうことになります。特にアメリカにおいては、他人に何かをたのもうとすると

Do it yourself. It’s America(自分で何とかしろ。それがアメリカだ)

と起業家でなくてもいわれてしまうのです。

 起業家として事業を成功に導きたいと考える場合には、「自分で動機づけ」し「自分で何とかする」というメンタリティを持つことが、根本的な態度として必要なことといえます。

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