起業初期にはDiligence よりPresence 「伝えたいこと」より「つたわること」







 通常、ある人がビジネスをスタートする際には、「ヒト、カネ、モノ」などすべてのリソースが少ないため、集中すべき優先順位を決めなければなりません。起業家はいつの時も勤勉(Diligent)でなければなりませんが、効果的に顧客を獲得していくためには、顧客にその存在に気づいてもらうために、まずプレゼンス(Presence=存在感)を上げることが極めて重要です。

 顧客は通常はスタートアップ直後の会社の存在など、全く知りません。その知らない会社から商品やサービスを買ってもらうためには、まずその存在自体を知ってもらうということが必要です。素晴らしいビジネスアイデアがあり、誠実できわめて勤勉な人がビジネスをスタートして、提供している商品やサービスのレベルが非常に高いものであったとしても、顧客がその存在に気づくことがなければ、結局ビジネスが成立しないまま終わってしまいます。

 顧客が少ない段階で、起業家がまず優先すべきは、「プレゼンスを上げる」ことになります。とにかく、どんな顧客でもまず「その存在に気がついてもらう」ことが必要なので、その手段をさまざまに考えていくことになります。

 自分が提供している商品・サービスの対象となる顧客に、自分の存在を認知してもらうための方法は、提供する商品やサービスの特性によって、それに適した媒体や方法というのは様々に違います。日本でも中小企業向けの「集客セミナー」などで、その時々にうまくいっている方法等が紹介されている場合もあるので、そういったものを参考にするのがよいでしょう。

 ただ、自分が提供している商品・サービスの対象となる顧客が、起業直後の自分の存在に気がついたとしても、それだけで顧客が買ってくれるわけではありません。あなたの存在に気がついた顧客にとって、あなたの商品・サービスが「購入するだけのメリットがある」ということが伝わららなければ、購入にまで至らないのです。このことは、既存市場ではなく新規市場を切り開いていこうとするような場合には特に重要になります。

 誰がみても何を提供しているかがわかるような既存市場、たとえば飲食店や塾などのようなものであれば、その存在に気がついてもらいさえすれば「何をやっているか?」ということを説明する必要はありません。しかし、高度に専門的なことや新規市場を切り開いていこうとする場合に、その商品やサービスが一体何なのかが全く分からない場合には、結局のところ顧客を逃してしまうのです。専門的な知識を持っている人が起業しようとする場合に、この点が全く考えられていないということは非常に多くなるようです。自分の存在に気がついてくれた顧客が、自分が何を提供しているのかが分からない場合、悪いのはそれを伝わるような準備をしていない自分自身なのです。

 繰り返しになりますが、起業直後に優先すべきなのは、まず「プレゼンスをあげること」であり、顧客に気づいてもらった時に自分の提供している商品・サービスが「伝わること」なのです。これが上手な人は何をやってもビジネスのスタートには成功しやすくなります。

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一般的な「プレゼンスを上げる」ための手段・手法






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