参入しようとしている市場はどのような市場か?







 前節で、ビジネスをスタートする前に、プライマリーリサーチをしっかり行って、顧客の存在を確認すべきことを説明しました。そのプライマリーリサーチの仮説を立てるために「自分が参入しようとしている市場はどのような市場なのか?」ということについて、出来るだけ詳細に調べ考えてみることで、「自分の提供しようとする商品・サービスに本当にお金を払うか?」という質問をすべき対象を適切に絞り込むことができるようになります。参入する市場について調べるべき項目とはたとえば以下のようなものです。

・市場の規模・大きさ
 新たに事業を始めるにあたって、市場の規模が収益を確保するのに十分な市場かどうかということは、きわめて重要なことです。これが非常に小さい(あるいは全くない)場合は参入すべきではない市場といえます。市場をこれから自分で切り開いていく場合には、その方法に合理的な説得力が必要になります。

・商品・サービスの購買サイクル
 これから提供しようとする商品やサービスの購入頻度がきわめて少なく、突発的にしか発生しない場合には、常に新規顧客を獲得できるような仕組みが必要になります。既存の顧客から繰り返し購買してもらえるような商品・サービスのほうが営業コストも低く安定的な収益が期待しやすくなります。

・市場の傾向
 参入しようとする市場が今現在は十分な規模があるとしても、歴史的な推移を確認したり、購買頻度などを総合的に判断したりした場合に、将来にわたって十分な市場規模が期待できない場合があります。逆に、現在はそれほどでもなくても、将来には大きな市場が見込めるものもあります。起業家が選ぶべき市場は当然将来性の高い市場といえます。

・参入障壁
 商品やサービスによっては、適切な資格保持者がいないと行えないビジネスであったり、行政による規制があったりする場合があります。事業を行う際の制約は事前に確認を行っておく必要があります。

・営業方法・利益モデル
営業方法や利益を上げるための方法は、提供する商品・サービスによって大きく違ってきます。起業家は、多くの場合、さまざまなリソースが不足していますので、当然営業コストがかかりにくくて、収益率の高いビジネスを選ぶべきといえます。

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