顧客への接触方法







 起業家として、提供する「商品・サービス」を決め、そこに「十分な規模の市場」があることが確認でき、かつ潜在的な顧客に対して「わかりやすいメッセージ」の用意ができたとします。それでもビジネスは成功するとは限りません。ビジネスが最終的に成功するためには、何らかの形で「顧客に接触する」ということができなければ、自分の顧客になってもらうことができません。この「顧客に接触する」というプロセスも、参入する市場の選択によっては、非常に効率が悪く、コストがかかるものであることが多くなります。

 前の章でも説明したとおり、起業家が初期の段階で優先すべきことは、適切な顧客に対して「プレゼンスを上げる」ことであり、プレゼンスをあげた結果接触できた顧客に「伝わること」になります。

 顧客に接触する方法には、たとえば次のような方法があります。
 ・直接訪問、交流会への出席
 ・電話営業
 ・チラシ、ダイレクトメール、FAXDM
 ・マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・CS放送・ケーブルテレビ など
 ・ネット(検索エンジン対策・メールDM、バナー広告、リスティングなど)
 ・口コミ(顧客同士のコミュニケーション)

 これまでも何度も述べてきているように、アメリカの汎用的な起業家研修では、必ずエレベーターピッチについて訓練を行います。このことは、顧客への接触方法として、「起業家自身」が、顧客やそのほかの人に「直接接触する場合」の訓練ということになります。

 また、エレベーターピッチを作成し、「直接接触した人に分かりやすく伝える」ことに成功すると、「それを理解した他の人が、さらに他の人に伝えやすくなる」という、口コミの効果が生まれる可能性が出てくるということでもあります。ビジネスをスタートした直後に、効率を極めて重視しなければならない起業家が、自分のリソースを使うことなく、「顧客が顧客を呼び込んでくれる」というようなことは非常にありがたいことです。

 参入する業界によっては、顧客への接触方法として「直接訪問」や「口コミ」といった方法では効果が狙いにくい業種が多いのも事実です。それでも、起業家自身が直接的な対人の接触を行う際に、どのようなコミュニケーションをとる人物か、は事業の成否に大きく関わる問題であることが多いので、分かりやすく自分の事業を説明する「エレベーターピッチ」は、何度も繰り返し、訓練されることになります。

 「広告を出稿する」、というような汎用的な形での顧客への接触は、「商品・サービスの定義」「市場の調査」「伝えるメッセージ」を事前に計画を立て、実際にマーケットテストを行うことによって、その反応も予測がしやすいものとなります。こういった方法による顧客への接触がメインの場合には、自分自身で市場の「プライマリーリサーチ」を行ったうえで、最も効果的なものをビジネスプランに織り込んでいくことになります。

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