設備・施設ほかの致命的プロセスの欠損







 商品の販売事業などを行っている際、主力商品が特定の設備によって製造されているような場合に、
「その設備が故障してしまうと事業が行えなくなってしまう」
ということが起こりえます。ある設備が故障してしまったとき、商品の販売を再開するためには、その設備の修理(または交換)が完了するのを待たざるを得ない、というような場合、その生産設備がその事業自体の生命線を握っていることになります。

 生産設備に限らず、事業を行っていく上では、
「ここに問題が起こってしまうと仕事ができなくなってしまう」
というような部分が少なからずできてくることになります。たとえば、以下のような場合です。

・製造工場で設備が故障してしまって、商品が販売できなくなってしまった
・製造した商品を一時的に保管する場所がなくなったため、製造を止めなくてはならなくなった
・客先への商品配送やサービスを行う自動車が故障してしまい、客先への訪問が全くできなくなってしまった
・顧客からの受注処理を特定のパソコンで行っているが、それが故障してしまい受注管理ができなくなってしまった
・社内コミュニケーションのためにメールを利用しているが、メールサーバーが故障したために、重要な意思決定のためのコミュニケーションが取れなくなった
 
 前章で説明した「ビジネスプランの中に含むべき項目」の中に、バリューチェーン(付加価値連鎖)がありますが、自分が行っている事業の中で「どのプロセスが最も高い付加価値を生むのか」、を考えるとき、起業家が行う事業の初期の段階では「もっとも付加価値を生むプロセス」と「問題が起こってしまうと事業ができなくなってしまうプロセス」というのが一致してしまうことが多くなります。

 事業が小規模なうちは「もっとも価値を生むプロセス」が、そのプロセスに携わっている「ヒト」に依存していることが多くなります。そのような状況から脱却するために、事業が人に依存しないような事業のシステム化(マニュアル化)などは常に行っていくことになります。

 しかし、問題が人的なリソースに依存するものではなく、機械や設備的なものであれば、万が一起こってしまったとしても、被害を最小化するための計画をあらかじめたてることは、比較的容易にできることです。できうる限り事前にその計画を立てておくべきでしょう。

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経済状況(景気等)に起因する問題






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