顧客が好きで、顧客(市場)をよく観察していること







 ある人がビジネスをスタートさせる時、

「自分ができること」
「自分がやりたいこと」
「自分が好きなこと」
「儲かること」

ということなど起点に、商品・サービスが決定されることが多くなりますが、このとき、そのビジネスの対象となる

「顧客が好きか?(好きになれるか?)」

は考慮されることが少ない項目といえるかも知れません。しかし、このことを考慮することは事業を継続的に発展させて行くためには、非常に重要なことといえます。

 ビジネスをスタートさせ、それを安定したものにしていくためには、自分から何度も商品・サービスを購入してもらえる「お得意様(クライアント:Client)」が増えていくことが望ましいといえます。事業が、そのような状態に発展するためには、起業家は顧客に対して高いレベルの「価値の提案(Value Proposition)」を行い続けながら、お互いが好意的で良好な関係を築いてある必要があります。

 顧客との関係が良好で「お得意様(Client)」と呼べる人の数が多ければ多いほど、顧客とのコミュニケーションが増えることになり、結果として顧客に対して「提案すべき価値」がより具体的に分かりやすいものとなります。そして、事業としての好循環が発生することになります。

 起業家が「自分ができること」「自分のやりたいこと」「自分の好きなこと」など「自分」を起点として市場に参入した場合、実際に顧客と接した際、実は「顧客は好きではない(好きになれない)」ということが起こってしまうことも多くなります。このような場合、起業家が基本的な性質として必要な「価値の提案」のためのモチベーションが続かず、その結果事業の発展にもつながらないということになります。

 また、起業家が参入する市場を決める際、「儲かる市場(お金になるから)」という観点からのみで参入すると、起業家はその市場の「顧客」が好きなのではなく、「顧客のお金」が好きなだけの場合も多くあります。このような場合、起業家から顧客に対して「提案される価値」が、顧客にとってのメリットが少ないものとなりやすく、顧客からの信頼が得られにくくなります。その結果、事業としての発展性も乏しいものとなってしまいます。

 どこの市場にも、不当に値切を要求したり、執拗なクレームをつけたりする「好ましくない顧客」というのも数多く存在し、そういった顧客に起業家は頻繁に出くわしてしまいます。しかし、顧客をよく観察し、彼らに対してどのような「前向きな提案」をすべきか、を常に考えて実行することで、そういった機会を減らすことができるようになります。

 起業家がその初期の段階では、「顧客」そのものが存在していないことも多く、「顧客を好きか?(好きになれるか?)」ということ自体が判然としないものであることもありますが、その市場を常によく観察し、それによって「顧客が好きになれるような提案」を継続的に行っていくことは、重要なことといえます。

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本質的な価値を見失わず、変化に対応する人であること






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