失敗はないと知っていて、あきらめないこと







 起業家がビジネスをスタートして、最終的に失敗となるのは、起業家自身が、自分の行ってきたことを「失敗」と定義して、前向きな活動をやめてしまうときです。世の中の「成功した起業家」と呼ばれる人たちの中には、事業がうまくいかないことを何度も経験して「会社をつぶしてしまった」「大きな借金を抱えてしまった」という一時的な状態を経験した人たちもたくさんいます。

 「失敗」にまつわる言及で、アメリカでも日本でもよく引用されるものとして次のようなものがあります。

 アメリカの大発明家として知られるエジソンが、実用的なフィラメント電球を誕生させるまでに、1万回とも言われる実験の失敗を繰り返したことについて聞かれたとき

「私は実験において一度たりとも失敗はしていない。これでは電球は光らないという発見をいままでに、何度もしてきたのだ。」

と答えたとされています。起業家が事業を行う上でも、同様のメンタリティを持って事業を進めていくべきといえるでしょう。

 起業家は、常に前向きに「価値の提案」行っていかなければならない存在ですが、社会的な信用度が低い段階の起業家が行う「価値の提案」は簡単には受け入れられないことのほうが多いものです。

 自分が非常に素晴らしいと思うビジネスアイデアを思いついた時、それが本当に社会に受け入れられて大きく展開できるようになるためには、ビジネスプランの作成の章でも述べてきたように、

商品・サービスの開発、品質の改善
適切な参入市場の選択
顧客に対してのメッセージの伝え方の工夫
事業資金の確保 

など、様々なことを一つ一つクリアしていかなければなりません。これらのことが、すべて最初から一度で簡単に成功するということは絶対にありえないといってよいでしょう。

 そのため、さまざまなところで発生する小さな「失敗」と思われることに対して、それを深刻なものとしてとらえるのではなく、それを「うまくいかないデータ」としてとらえて、そのデータの蓄積を基にうまくいくための方法をあきらめずに探っていくことになります。

 起業家が目の前の小さな失敗に対して、あきらめてしまいやすいのは、ここでも自分が行おうとしている事業に関しての「社会的な使命感」や「モチベーション」が低いことが関連しています。そのため、起業家がビジネスを選択する際には自分のモチベーションを維持したまま、あきらめずに行うことができる事業を選択するべきといえるでしょう。

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周囲を信用して、役割を委譲できること






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