「本当に客がいるか?」とにかくやってみる!! やってみないと分からない







 ビジネスをスタートさせる前には、できるだけ具体的な顧客像をイメージしておいたほうがよいのですが、いくら具体的に顧客をイメージし続けたところで、本当に顧客となってもらえるかというのは実際にやってみないと分からないものです。

 事前調査の段階で、対象と思われる顧客のアンケートの結果がどれほど良好なものであったとしても、実際に「お金を出す」という行為が伴うときには、その実際の行動は極めてシビアなものになります。

 日米を問わず、大学・大学院教育などの高度な知的教育を受けた人たちが起業家研修を受けるような場合には「マーケットリサーチの手法」「マーケティングの理論」などを深く掘り下げて勉強し、用意されたワークシートに文字を埋め尽くす、ということを好む傾向があるようです。しかし、実際のビジネスでは、いくらワークシートにたくさんの文字を埋め込んだからといってうまくいくものでもありませんので、本当にビジネスが回っていくかどうかについては、机上で考えすぎるよりも先に「とにかくやってみる」ということで検証していくことを推奨していくことになります。

 この「本当に客がいるか?」を検証するために、「とにかくやってみる」とき、ポイントとなる点があります。それは、「リスクを取りすぎない」ということです。野心にあふれた人が、ビジネスアイデアを思いつき「起業をしよう!!」として実行に移すときには、往々にして自分のアイデアややる気に満ちているので、どうしても「すべてがうまくいく」ことを前提にいろいろなことを進めてしまいがちなのですが、特に初期の段階では「顧客がどのような行動をとるか」、ということについてのデータが全くない状況ですので、「派手な宣伝」や「過剰な設備投資」「最初から在庫を抱え込む」などのリスクは極力減らしたほうがよいでしょう。もし、起業のアイデアが、「商品在庫やサービスが全くない状況で集客だけ行ってみる」ということができるのであれば、それがベストです。

 全く事業経験がなく新たにビジネスをスタートさせるにしても、現在行っているビジネスの状況が悪くなって新規事業を行う場合でも、過剰なリスクを背負って「これに賭ける」というような場合には、往々にして失敗する確率が高くなります。

 起業家というのは、その役割として「事業を回し続ける」というのが最低条件です。そして、「事業が回り続ける」ということは「顧客が存在し続ける」かつ「資金が枯渇しない」ということとほぼ同義です。そのため、「とれるリスクを見極めながら」「顧客に対しての適切な行動をする」ことが起業する際には重要なことになります。

 もし、商品在庫やサービスがない状況でも、自分のアイデアを基に集客テストを行ってみたとき、顧客からの反応がどんどんあるような場合には、それは相当に有望なビジネスです。もし、小さい規模でやってみて、すぐに顧客が得られることが分かった場合には、ビジネスにはタイミングも重要ですので、そのビジネスはすぐに実行に移すべきです。逆にうまくいかなかった場合には、実際のデータを蓄え、次の展開のための参考にしていくことになります。

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起業初期にはDiligence よりPresence 「伝えたいこと」より「つたわること」






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