「すでに動いている事業を買い取る」というビジネス・スタートアップ







 事業の立ち上げに成功した人が、「事業を売却する」ということを行うことができるのであれば、事業を始めたい人が「事業を買い取る」ということで、ビジネスを始めることができる、ということになります。

 ビジネスを全くゼロからはじめて、「充分な収益を上げることができる事業」にしていくのには、大変な時間や労力が必要になります。 ビジネスをゼロからスタートさせるためには、

「新規顧客をたくさん獲得する」
「仕入ルートをゼロから構築する」

 など様々な努力が必要になります。こういったことは、一朝一夕にできることではなく、多くの人たちは、この段階で失敗して、継続的な事業ができなくなるというようなことが起こってしまいます。
そのため、ある人が「起業をする」という選択をする際には、「買い取ることが可能な事業」を探し、それを買い取ることで事業を始める、ということのほうが手っ取り早く、しかも確実なビジネス・スタートアップの手段となる場合も多くなります。

 歴史上で「アントレプレナー」として賞賛される人たちの中には、ゼロからビジネスをスタートさせたわけではなく、すでに動いている事業を買い取って(譲り受けて)ビジネスをスタートさせ、その事業を「アントレプレナー的プロセス」で拡大させていくことによって成功していった「アントレプレナー」もたくさんいます。一例を挙げるならば、マクドナルド兄弟から権利を買い取って事業をスタートさせたレイロックなどがそれに当たります。

 世の中には、全く何もないところから「ビジネス・スタートアップ」をして、その後「アントレプレナー的プロセス」に移行して大成功をする人もいます。しかし、それ以上にビジネスをゼロからスタートさせようとして「ビジネス・スタートアップ」自体に失敗してしまうケースや、「ビジネス・スタートアップ」はうまくいったにもかかわらず、その後「アントレプレナー的プロセス」に進むことができない(売却できる事業にならない)ケースも非常が多いのです。

 つまり、「ビジネス・スタートアップ(創業)」と「アントレプレナー的プロセス(事業化プロセス)」というのは本質的には、別のプロセスであるといえます。

 そのため、「すでに売却できる状態」のビジネスを買い取り、その状態からビジネスをスタートさせ、その後に「アントレプレナー的プロセス」に乗って、ビジネスを拡大させていくことを目指す、というやり方も賢明なビジネス・スタートアップのための手段といえるでしょう。

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