中核となる価値(Core Value)とニッチ(Niche)は何か?







 ビジネスを始める際に、提供する商品・サービスが決まったら、より具体的にそれらの「最も中核となる価値(Core Value)」は何なのかを掘り下げて考えていくことになります。

 この「中核となる価値」を考える際には、エレベーターピッチの中に含められるように

「誰に対して提供するのか?(Why you?)」
「何故、自分がそれを提供することに価値があるのか?(Why Me?)」

ということを考えていくことで、少し考えやすくなります。

 ビジネスを始めたとき、売上は具体的な顧客一人(一社)の積み上げでしかないので、自分の提供する価値が最も受け入れられやすいと思われる具体的な顧客像を考えることになります。
自分が提供する商品・サービスの対象と思われる見込み客が適切に想定されていたとしても、見込み客の側から見て「何故、他人ではなく自分から買うのか?」ということの理由が明確にできている場合には、かなり有利にビジネスがスタートできることになります。

 新たにビジネスをスタートして、特に既存市場に参入していくような場合には、潜在的な顧客の存在が明らかな場合でも、「何故、他人ではなく自分から買うのか?」に明確な根拠がない場合には、見込み客は通常は既存の他者から購入することになります。なぜなら、起業直後の会社には、ビジネスを行う上での信用が全くないからです。

 新規参入の起業家が、既存他者がすでにビジネスを行っている市場に参入する際、自分の「中核となる価値」を明確に提示できない時、顧客を獲得するためのほぼ唯一の手段は「値段を下げること」でしかないことが多くなります。そのようなやり方でしか、ビジネスをスタートせざるを得ない状況であれば、できるなら起業は行わないほうがよいといえます。

 起業家が参入すべき市場としては、「ニッチ(Niche)市場」に参入すべき、と一般的には言われています。「ニッチ(Niche)市場」とは、日本語でいえば「隙間市場」や「特定市場」といった意味で、何かしらの理由で既存他者が参入していない、よりターゲットが絞り込まれた市場のことを言います。

 新規に参入した起業家が、属性を絞りこんでいない不特定多数の広範な市場に対して、「何でもできます!!」といって参入することは、多くの場合「何にもできません」といっていることと同じであって、決して有利な条件で顧客を獲得することはできません。そのため、起業家はある特定の部分で何か「突き抜けられる部分」というのを(でっち上げてでも)探しだし、それを顧客に対してアピールできるようにしておくことが、立ち上がりをスムースにさせることになります。

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最初の顧客は誰か?すでにいるか?市場があるのか?






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