最初の顧客は誰か?すでにいるか?市場があるのか?







 起業をするにあたって、どんな商品・サービスを提供するのか、ということが決まったら、その商品やサービスに「市場があるか?」ということを確認していくことになります。ある人に「やりたいこと」があって起業したとしても、その商品・サービスの市場に十分な大きさがない場合には、その事業は破たんしてしまうことになるからです。

 第2章でもしつこく説明をしてきましたが、ビジネスのスタートアップに成功するために絶対に必要なことは「顧客がいること」です。そして、具体的な最初の顧客がどのような人(会社)であるかということは、事業をスタートさせるためにも必要なことであると同時に、その後の方向性を決める事柄となります。

 起業して提供する商品・サービスが決まったとしたら、それらを提供するターゲットとして最もふさわしい人を考え(対象顧客の仮説をたてる)、そして実際にそういう人たちに直接接触を行った上で、本当に「お金を出して買うか」ということについて確認のための調査を行っていく(仮説を検証する)ことになります。

 アメリカの起業家研修では、この部分を相当な時間をかけて参加者全員でインタラクティブに確認をしながら行っていくことが多いようです。二日間以上にわたるトレーニングコースであれば、初日にまず「提供する商品・サービスと対象顧客に関しての仮説の発表」を行い、翌日以降のクラスまでに「対象顧客と思われる人に対しての実際にインタビュー・アンケート調査」を行っておき、その結果を発表し受講者全員で意見を持ち寄り実行可能性を検証する、という形のものが多くなります。

 リサーチに関する用語で、直接的にアンケートや電話調査等を行うことを「Primary Research (一次調査、同義語:field research)」といいます。これに対して、すでに発表されている記事や論文からの調査を「Secondary Research(二次調査 同義語:desk research)」と呼びます。日本語でもマスコミなどで実際に現場に行って取材をして得た情報を「一次情報」と呼ぶことがありますが、その感覚です。

 起業家が、その立ち上げの段階で、「Secondary Research (Desk Research)」のみで実際の行動に起こすことは非常に危険なことです。実際の現場で、対象となりそうな顧客の生の声を聞き、「自分がこれから提供しようとする商品・サービスに顧客が本当にお金を出して買うか?」ということが証明されなければ、起業は絶対に成功することはありません。そのため、特に起業家研修においては、文字通り「Primary Research」を第一に行って、その上で実行可能性が確認できてから事業を進める、というプロセスの訓練を行っていくことになります。このことは、事業を進めるためのリスクを管理のためにも非常に重要なことです。

 もし、事業を始める前のリスクの低い段階でPrimary Research を行ってみて、実際の手ごたえを得られない場合には、強引にスタートせずに、再度「仮説を立てる」ところから始めて、検証作業を行っていくという判断が必要になることもあります。

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参入しようとしている市場はどのような市場か?






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