オペレーション(運用)計画







 起業家が初期の段階で、自分の提供する商品・サービスのマーケティング・セールスに成功して、無事に事業が立ち上がってきたとしても、その後のオペレーションが適切に行われなければ、継続的で安定した事業とはなっていきません。

 一般的に、「ビジネススタートアップに成功しやすい人」は、「マーケティングや営業が得意な人」なのですが、その後、オペレーションの体制を確立して、事業を拡大していくプロセス(アントレプレナー的なプロセス)が得意かどうかとは全く別の話となります。

 スタートアップに成功したビジネスを「アントレプレナー的なプロセス」で拡大させていくために重要な考え方が、事業を「システム化」していくということになります。事業を「システム化」していくためには、事業の中の「営業」「マーケティング」「商品・サービス開発・提供」などの様々な要素を個人に依存せず、組織的に動かしていく必要があります。

 「専門職的なプロセス」での商品・サービスの提供を行っている人の場合は、特にこの「商品・サービスの提供」の部分をシステム化することなく、自分自身の属人的な能力に依存した状態にして、その状態を繰り返していくことになりがちになります。

 たとえば、

飲食店で起業をした人が、「自分自身で調理を行い続ける」
学習塾を開業した人が「自分自身で講師を行い続ける」
コンサルティングで起業をした人が「自分自身でコンサルティングを行い続ける」

といった状況です。このような状態で、起業家自身が自分自身で「商品・サービスの提供」を行う場合には、スモールビジネスにとどまりやすく、多くの場合には、先に述べたような「スモールビジネスにとどまることによる問題」を常に抱えながらも、結局そのままの状態を続けざるを得ないという状況になりやすくなります。

 コンサルティングのような知的な専門性の高いビジネスの場合は、その事業のシステム化は簡単ではないかもしれません。しかし、たとえば一般的な飲食店を始めるような場合、「調理方法の詳細なレシピの作成」「店内の清掃・消毒方法のマニュアル」「お客様への声の掛け方の徹底」といったことで、自分自身がその作業を行わなくても、自分以外の他の人(アルバイトなど)にそれに沿った方法で仕事をしてもらうことで、その事業の品質の維持・向上に努めることができるようになります。

 経営学の本などにおいては、「経営者は、頭を使うことが仕事」ということが一般的にはよく言われます。起業家の場合には、最初の段階ではリソースが少ないことが多いため、起業家自身が「自分の体」を使って商品・サービスを提供していく必要がある場合も多いものですが、本質的な部分においては、常に「頭を使って仕事をする」という人であったほうがよいことは間違いないでしょう。

 そのため、起業家がビジネスのスタートアップに成功したら、その後の事業全体の運用に関しての「システム化」という部分に対してどのように計画を立て、実装していくかということを常に考えていくべきといえます。

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商品・サービスの技術的な特徴・優位性・知的財産権






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