商品・サービスの技術的な特徴・優位性・知的財産権







 スタートアップに成功して、収益性の高い状態で事業を続けていくことができるようになるためには、やはり、事業の中核部分である「商品・サービス」の技術的な競争優位性があることが望ましいといえます。ビジネスのスタートアップの段階では、多少奇をてらったマーケティングやセールスの手法などで、その立ち上がりに成功することも多くあります。しかし、提供する商品やサービスが継続的な収益を上げていくためには、その品質(競争優位性)の問題がより重要な要素となります。

 自分の提供している商品・サービスが非常に革新的なもので、きわめて収益性の高いビジネスである場合にも、それで安心できるわけではありません。むしろ、そのタイミングにこそ、適切にその技術を保護するような計画を立てて置く必要があります。なぜなら、収益性の高いビジネス(儲かるビジネス)には、さまざまな人々が参入しようとしてくるからです。

 誰かが、「儲かってそうなビジネス」を行っていて、しかもそのビジネスが「自分(誰)にもできそうなビジネス」の場合には、多くの人がそのビジネスを模したビジネスを行おうとします。時には、後発の参入者のほうが競合優位性の高い機能を付加した商品・サービスを提供し始めることによって、自分自身の事業を脅かす存在となる場合があります。また、時には、模倣した側の商品・サービスが極めて劣悪であるがために、自分も含めた業界全体がきわめて深刻な風評被害を受けることなども考えられます。

 そのため、技術的な新規性が高い商品・サービスである場合には、特許を取得するなどして、ビジネスを保護することになります。特許の場合にはそのノウハウなどの情報は基本的には公開を前提としますので、製法その他を公開せずに保護する場合もあります。(有名な例ではコカコーラの製法は特許申請されていません)

 自分が素晴らしい商品・サービスを開発したときに、どのようにその権利を保護しながらビジネスを維持・拡大させていくかということは、非常に重要な事柄のため、アメリカのほとんどの起業家研修においては、知的財産権に関しての講義が行われています。知的財産権の保護のされ方は、国によっても細かく違いますが、アメリカは特に知的財産権に関して非常に敏感で、訴訟なども起こりやすく、知的財産権を侵害した企業などに対しては厳しい制裁が下されることも多くあります。また、アメリカでは特許取得の費用や裁判を行う際の弁護士費用なども日本と比べて安価ですので、起業家にとっては、斬新なアイデアでビジネスを始める時には、他のどの国よりもアイデアを保護しながらやりやすい国であるとは言えるでしょう。

 日本では、知的所有権に関しての一般的な認識も低く、訴訟費用が高いことや、裁判で権利の侵害が認められた場合の賠償額などもアメリカと比べると極めて低い判断がなされることのほうが多いようです。そのため、小規模な起業家にとってはハンディキャップとなりやすい部分ではありますが、自分が展開するビジネスの「知的所有権の保護」をどのように行っていくかは考えておくべき事柄といえます。

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