事業のシステム化のための、数値化・マニュアル化







 スタートアップに成功した事業を、「アントレプレナー的なプロセス」によって、起業家自身の属人的な能力に依存しないような「売却できる事業」へと発展させていくことを目指す場合、事業の中で必要となる仕事を他の人に委譲(transfer, take over)できる形にすることが必要になります。

 一般的に、ビジネスを少ない人的リソースでスタートする場合、営業、マーケティング、製品・サービス開発など様々な事業プロセスは、それを担当している人の属人的な能力に依存し、主に「勘と経験」によって、不安定に進められることが多くなります。このような状態を、できるだけ「個人に依存しすぎない(属人的になり過ぎない)」システムとして安定的に事業を動かしていくほうが望ましい状態といえます。そのために、重要なことが、事業プロセスの「数値化」「マニュアル化」という考え方となります。

 たとえば、マクドナルドやセブンイレブンなど、元々はスモールビジネスから事業を拡大して大事業へと発展している会社は、さまざまな事業プロセスの「数値化」「マニュアル化」を徹底的に行って、全体として大きな整合性がとれたシステムとして運営されています。

 事業というのは、一時的に成功させるだけでなく、継続的に維持発展させていく必要があるものです。そして、事業が発展しているのか、あるいは後退しているのかということを正しく認識するためには、定量的に数値化された指標が必要になります。

 事業を定量的に測る指標として、最もわかりやすく、かつ最も重要なものは「お金」です。ただし、「お金」は、提供される商品やサービスの価値に対して、顧客が最終的に納得したうえでそれに相当した金額が支払われるもので、具体的に「お金」が支払われる以前に、それ以外の様々な数値化できる要素があるはずです。そういった要素をできるだけ分かりやすい定量化できる数値として測定・蓄積し、改善していくプロセスを行うことによって、事業を合理的に発展させていくことができるようになります。

 事業プロセスのなかで、さまざまに数値化が行われた要素の観察、改善活動を行った上で、最も効果的に作業が行えるような方法は、「マニュアル化」し、誰がやっても、何度やっても同じ品質でその事業プロセスが履行されるようにしていくことで、質を維持しながら事業を発展させていくことができるようになります。

 アメリカでは、アメリカの国籍を持っている人でも、教育レベル(時には言語レベルさえも)が人によってバラバラであることも多いため、「誰がやっても同じ仕事ができる」ような、事業プロセス(業務)の「マニュアル化」というのは非常に重要なこととなります。飲食店などのフランチャイズで成功している会社(例:マクドナルド)などでは、社会経験の少ない高校生から老人までが、同じ業務マニュアルを利用して、その事業が提供するサービスの品質を維持ししています。

 事業を「アントレプレナー的に」拡大していくためには、こういった「数値化」「マニュアル化」ということは、必要な考え方となります。

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