内部情報の紛失・漏洩







 顧客にとって魅力的な商品・サービスの開発に成功して、ビジネスが順調にまわり始めると、さまざまな「情報」が社内に蓄積されていくことになります。ビジネスを進めていくうちに蓄積される情報には、たとえば以下のようなものがあります。

・顧客リスト・購入履歴
・マーケティング情報
・取引先情報・仕入れ情報
・財務情報
・業務マニュアル
・独自技術に関する資料
 
 昨今のビジネス環境においては、成功するビジネスを構築するためには、こういった情報を組織的に集め、独自に蓄積しながら、有機的に組み合わせて行っていくということのほうがより重要になっています。こういった情報は、事業を行っていく上で非常に重要な情報のため、これらの情報が「紛失する」、あるいは「他者に漏えいする」というようなことが発生すると、ビジネス上も大変な問題を引き起こすことになります。

 立ち上げた事業がうまくいけばいくほど、悪意のある他社が、自社が独自に蓄積している価値の高い情報を取得したいと考えることになります。しかし、こういった情報の「紛失」「漏洩」というような問題は、巧みに侵入した他者によって発生するものより、大多数はそれを管理している自分自身の問題によって発生します。

 最近では、ビジネスにおける重要な情報のほとんどは、社員個々のパソコンに保存・管理されています。ビジネスにおける極めて重要な情報を扱っているにも関わらず、その情報を管理しているパソコン等の扱い方がずさんであるがために、情報の紛失、漏洩などの問題が発生しやすくなっています。たとえば、以下のような場合です。

 ・重要情報の管理を一台のパソコンで行っており、バックアップを行っていなかったために、そのパソコンが故障してしまったために、すべての重要情報が紛失してしまった。
 ・情報の加工等を自宅で行うために、情報をコピーして自宅のパソコンで作業を行っていたところ、ネット上に漏えいしてしまった。

 自社内の情報の収集・管理について、どのように体制を整え、その「紛失」や「漏洩」を防ぐかということは、現在のビジネス環境においては絶対に必要なこととなります。逆に、情報の管理が重要でない(と起業家が軽く考えている)ビジネスというのは、情報の管理が属人的にバラバラに行われるということですので、それほど大きな発展性のないビジネスといえます。今後のビジネス環境の中では、情報の収集・管理・保全といった、「情報」に関するあらゆることが、ビジネスの中核をなすという認識のもと、常に情報管理体制の確立、維持、改善を行っていくことが、起業家の成功条件といえるでしょう。

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設備・施設ほかの致命的プロセスの欠損






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